Classiques japonais avec furigana
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くにさだえがく
鏡花短篇集 川村二郎編
泉 鏡花
Lisez 鏡花短篇集 川村二郎編 (くにさだえがく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 644 caractères · 40 écrans
「手前じゃ、まあ、持物と言ったようなものの、言わばね、織さん、何んですわえ。それ、貴下から預かっているも同然な品なんだから、出入れには、自然、指垢、手擦、つい汚れがちにもなりやしょうで、見せぬと言えば喧嘩になる……弱るの何んの。そこで先ず、貸したように、預けたように、余所の蔵に秘ってありますわ。ところが、それ。」
と、これも気色ばんだ女房の顔を、兀上った額越に、ト睨って、
「その蔵持の家には、手前が何でさ、……些とその銭式の不義理があって、当分顔の出せない、といったような訳で、いずれ、取って来ます。取って来るには取って来ますが、ついちょっと、ソレ銭式の事ですからな。
それに、織さん、近頃じゃ価が出ましたっさ。錦絵は……唯た一枚が、雑とあの当時の二百枚だってね、大事のものです。貴下にも大事のもので、またこっちも大事のものでさ。価は惜まぬ、ね、価は惜まぬから手放さないか、と何度も言われますがね、売るものですか。そりゃ売らない。憚りながら平吉売らないね。預りものだ、手放して可いものですかい。
けれども、おいそれとは今言ったような工合ですから、いずれ、その何んでさ。