Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

Lisez 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 305 caractères · 66 écrans

Aozora Bunko

位置は変って、川の反対の方に見えて来た、なるほど渡を渡らねばなりますまい。

足を圧えた片手を後へ、腰の両提の中をちゃらちゃらさせて、爺様頼んます、鎮守の祭礼を見に、頼まれた和郎じゃ、と言うと、船を寄せた老人の腰は、親仁の両提よりもふらふらして干柿のように干からびた小さな爺。

やがて綱に掴まって、縋ると疾い事!

雀が鳴子を渡るよう、猿が梢を伝うよう、さらさら、さっと。」

高坂は思わず足踏をした、草の茂がむらむらと揺いで、花片がまたもや散り来る――二片三片、虚空から。――

「左右へ傾く舷へ、流が蒼く搦み着いて、真白に颯と翻ると、乗った親仁も馴れたもので、小児を担いだまま仁王立。

真蒼な水底へ、黒く透いて、底は知れず、目前へ押被さった大巌の肚へ、ぴたりと船が吸寄せられた。岸は可恐く水は深い。

巌角に刻を入れて、これを足懸りにして、こちらの堤防へ上るんですな。昨日私が越した時は、先ず第一番の危難に逢うかと、膏汗を流して漸々縋り着いて上ったですが、何、その時の親仁は……平気なものです。」

高坂は莞爾して、

「爪尖を懸けると更に苦なく、負さった私の方がかえって目を塞いだばかりでした。