Classiques japonais avec furigana
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はせがわくんとよ
長谷川君と余
Lisez 長谷川君と余 (はせがわくんとよ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 616 caractères · 10 écrans
それで分かれた。
最後に逢ったのは、出立の数日前暇乞に来られた時である。長谷川君が余の家へ足を入れたのはこれが最初であってまた最終である。座敷へ通って、室内を見渡して、何だか伽藍のようだねと云った。暇乞のためだから別段の話しも出なかったが、ただ門弟としての物集の御嬢さんと今一人北国の人の事を繰り返して頼んで行った。
一日越えて、余が答礼に行った時は、不在で逢えなかった。見送りにはつい行かなかった。長谷川君とは、それきり逢えない事になってしまった。露都在留中ただ一枚の端書をくれた事がある。それには、弱い話だがこっちの寒さには敵わないとあった。余はその端書を見て気の毒のうちにも一種のおかしみを覚えた。まさか死ぬほど寒いとは思わなかったからである。しかし死ぬほど寒かったものと見える。長谷川君はとうとう死んでしまった。長谷川君は余を了解せず、余は長谷川君を了解しないで死んでしまった。生きていても、あれぎりの交際であったかも知れないが、あるいは、もっと親密になる機会が来たかも分らない。余は以上の長谷川君を、長谷川君として記憶するよりほかに仕方のない遠い朋友である。