Classiques japonais avec furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lisez 阿部一族・舞姫 (かのように) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 875 caractères · 141 écrans
小春の空が快く晴れて、誰も彼も出歩く頃になっても、秀麿はこのしんとした所に籠って、卓の傍を離れずに本を読んでいる。窓の明りが左手から斜に差し込んで、緑の羅紗の張ってある上を半分明るくしている卓である。
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この秋は暖い暖いと云っているうちに、稀に降る雨がいつか時雨めいて来て、もう二三日前から、秀麿の部屋のフウベン形の瓦斯煖炉にも、小間使の雪が来て点火することになっている。
朝起きて、庭の方へ築き出してある小さいヴェランダへ出て見ると、庭には一面に、大きい黄いろい梧桐の葉と、小さい赤い山もみじの葉とが散らばって、ヴェランダから庭へ降りる石段の上まで、殆ど隙間もなく彩っている。石垣に沿うて、露に濡れた、老緑の広葉を茂らせている八角全盛が、所々に白い茎を、枝のある燭台のように抽き出して、白い花を咲かせている上に、薄曇の空から日光が少し漏れて、雀が二三羽鳴きながら飛び交わしている。
秀麿は暫く眺めていて、両手を力なく垂れたままで、背を反らせて伸びをして、深い息を衝いた。それから部屋に這入って、洗面卓の傍へ行って、雪が取って置いた湯を使って、背広の服を引っ掛けた。