Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Lisez 陰獣 (いんじゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 968 caractères · 131 écrans
私は又、人を頼んで、平田一郎の故郷である静岡の町を検べて貰ったけれど、彼が全く架空の人物であってくれればという空頼みの甲斐もなく、今は行方不明の平田一郎なる人物があったことを報じて来た。だが、仮令平田という人物が実在していた所で、彼が誠の静子の嘗つての恋人であった所で、それが大江春泥であり六郎氏殺害の犯人であったと、どうして断定することが出来よう。彼は今現にどこにも居ないのだし、静子はただの昔の恋人の名を、一人三役の一人の本名に利用しなかったとは云えないのだから。更らに、私は親戚の人の許しを得て、静子の持物、手紙類などをすっかり調べさせて貰った。それから何等かの事実を探り出そうとしたのだ。併しこの試みも何の齎すところもなかった。
私は私の推理癖を、妄想癖を、悔んでも悔んでも悔み足りない程であった。そして、出来るならば、平田一郎の大江春泥の行方を探す為に、仮令それが無駄だとは分っていても、日本全国を、いや世界の果てまでも、一生涯巡礼をして歩き度い程の気持ちになっている。(だが春泥が見つかって、彼が下手人であったとしても、又なかったとしても、夫々違った意味で、私の苦痛は一層深くなるかも知れないのだが)