Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようきなきゃく

陽気な客

山本 周五郎

Lisez 陽気な客 (ようきなきゃく) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 086 caractères · 46 écrans

Aozora Bunko

天青は情熱に燃えたわけなんだ。うす汚ない小さな酒場の隅で、土間を下駄で踏みにじり、白粉の剥げたようなぶくぶくに肥った女給の首を抱き、ふいに浪花節でオセローのせりふを喚きだし、ぐいぐいと麦酒を喉へながしこんだ。

「諸君、脱帽したまえ、ここにぼくがいる、ぼくが仲井天青だ」

そして女給の頬ぺたへ吸いつき椅子ごとぶっ倒れてへどをついた。……冷静にみれば、多少は興ざめでなくはない、おれにしたってそこまでは断言しない。が、ともかくも天青は燃えていたんだ。

――なにを云うか、それが狂態だといって誰に嗤う権利があるか、人間が純粋になればなるだけ、俗人どもには滑稽にみえるだろう、それがなんだ、天青は燃えていたんだぞ、名声や利欲のためじゃない、なんのためというわけじゃない、彼は芸術への情熱に全身を燃やらかしていたんだ。なにを云うか、さあ云え、いったいきみたちに彼以上のなにがあるか。……人間には平和や家庭や健康で優秀な妻子や、きちんと貰える月給のほかにも大切なものがあるんだ、そのために身を削るほど苦しんでいる者だっているんだぞ、ばかにするな。

――十一月の月給日のことだった。