Classiques japonais avec furigana
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かげろうざ
陽炎座
泉 鏡花
Lisez 陽炎座 (かげろうざ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 381 caractères · 67 écrans
美しい女は屹と紳士を振向いた。
「貴方。」
若い紳士は、杖を小脇に、細い筒袴で、伸掛って覗いて、
「稲荷だろう、おい、狐が化けた所なんだろう。」と中折の廂で押つけるように言った。
羽織に、ショオルを前結び。またそれが、人形に着せたように、しっくりと姿に合って、真向きに直った顔を見よ。
「いいえ、私はお稲です。」
紳士は、射られたように、縁台へ退った。
美しい女の褄は、真菰がくれの花菖蒲、で、すらりと筵の端に掛った……
「ああ、お稲さん。」
と、あたかもその人のように呼びかけて、
「そう。そして、どうするの。」
お稲は黙って顔を見上げた。
小さなその姿は、ちょうど、美しい女が、脱いだ羽織をしなやかに、肱に掛けた位置に、なよなよとして見える。
「止せ!品子さん。」
「可いわ。」
「見っともないよ。」
「私は構わないの。」
二十一
「ねえ、お稲さん、どうするの。」
とまた優しく聞いた。
「どうするって、何、小母さん。」
役者は、ために羽織を脱いだ御贔屓に対して、舞台ながらもおとなしい。
「あのね、この芝居はどういう脚色なの、それが聞きたいの。」
「小母さん見ていらっしゃい。