Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
がん
雁
Lisez 雁 (がん) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 73 950 caractères · 147 écrans
そう、そう。あの時わたしは慥かに物を言おうとした。唯何と云って好いか分からなかったのだ。「岡田さん」と馴々しく呼び掛けることは出来ない。そんならと云って、顔を見合せて「もしもし」とも云いにくい。ほんにこう思って見ると、あの時まごまごしたのも無理はない。こうしてゆっくり考えて見てさえ、なんと云って好いか分からないのだもの。いやいや。こんな事を思うのは矢っ張わたしが馬鹿なのだ。声なんぞを掛けるには及ばない。すぐに外へ駆け出せば好かったのだ。そうしたら岡田さんが足を駐めたに違いない。足さえ駐めて貰えば、「あの、こないだは飛んだ事でお世話様になりまして」とでも、なんとでも云うことが出来たのだ。お玉はこんな事を考えて火をいじっているうちに、鉄瓶の蓋が跳り出したので、湯気を洩らすように蓋を切った。
それからはお玉は自分で物を言おうか、使を遣ろうかと二様に工夫を凝らしはじめた。そのうち夕方は次第に涼しくなって、窓の障子は開けていにくい。庭の掃除はこれまで朝一度に極まっていたのに、こないだの事があってからは、梅が朝晩に掃除をするので、これも手が出しにくい。お玉は湯に往く時刻を遅くして、途中で岡田に逢おうとしたが、坂下の湯屋までの道は余り近いので、なかなか逢うことが出来なかった。