Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
がん
雁
Lisez 雁 (がん) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 73 950 caractères · 147 écrans
岡田が又「左」と云った。石原が余り右へ寄り過ぎたのである。忽ち石原は足を停めて身を屈めた。そしてすぐに跡へ引き返して来た。遠い方の蓮の茎の辺を過ぎた頃には、もう右の手に提げている獲ものが見えた。
石原は太股を半分泥に汚しただけで、岸に着いた。獲ものは思い掛けぬ大さの雁であった。石原はざっと足を洗って、着物を着た。この辺はその頃まだ人の往来が少くて、石原が池に這入ってから又上がって来るまで、一人も通り掛かったものが無かった。
「どうして持って行こう」と僕が云うと、石原が袴を穿きつつ云った。
「岡田君の外套が一番大きいから、あの下に入れて持って貰うのだ。料理は僕の所でさせる」
石原は素人家の一間を借りていた。主人の婆あさんは、余り人の好くないのが取柄で、獲ものを分けて遣れば、口を噤ませることも出来そうである。その家は湯島切通しから、岩崎邸の裏手へ出る横町で、曲りくねった奥にある。石原はそこへ雁を持ち込む道筋を手短に説明した。先ずここから石原の所へ往くには、由るべき道が二条ある。即ち南から切通しを経る道と、北から無縁坂を経る道とで、この二条は岩崎邸の内に中心を有した圏を画いている。