Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あめのやまぶき
雨の山吹
山本 周五郎
Lisez 雨の山吹 (あめのやまぶき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 433 caractères · 33 écrans
「お客さまはおそのさんを御存じでございますか」
「知っているわけではないが、まえにいちどみごとに活けたのを見たものだから」
「皆さんがよくそう仰しゃいます、よろしかったら此処へ来て活けるように申しますですよ」
「そうだな……」
住居を訊いて、じかに訪ねるつもりだった。しかしひと違いのばあいもあると思い、そうして呉れるように頼んだ。
泊り客も少ないとみえ、宿の中は静かだった。造り直したばかりらしい、新しい広い風呂に、悠くり浸っていると、雨の音がし始めた。ひっそりした降りようであるが、あけてある高い小窓から見ると、紫色に芽をふくらませた桐の枝が、たちまちしっとりと濡れていった。
風呂から出て二階の座敷へ戻ると、まもなく女中が茶をはこんで来た。そのうしろから活け花の道具を持った、一人の女がついて来て、隅のほうに慎ましく手をついた。
「おそのさんといいます、どうぞごひいきに」
女中はそう云って、茶をすすめ、なおそこへ茣蓙を敷いたり、水盤や水差を揃えたりして、それから出ていった。
女は汝生であった。幾たびか縫い直したらしい、じみな縞柄の着物にも、古びた厚板の帯にも見おぼえがある。