Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あめのやまぶき

雨の山吹

山本 周五郎

Lisez 雨の山吹 (あめのやまぶき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 433 caractères · 33 écrans

Aozora Bunko

――哀れな汝生。

その夜寐てから、又三郎はそう呟いては幾たびも涙を拭いた。喜兵衛に対する怒りは、ますます強くなるばかりだった。それは殆んど憎悪にまで昂まった。

「ひどいやつだ」

彼は夜具の中で拳を握りながら云った。

「なんというひどいやつだ」

朝になっても雨はやまなかった。

まさか逃げはしまいが、彼は念のため、朝食まえに宿をでかけた。ゆうべ汝生が花も活けず、泣いた顔で帰ったので、宿の者は不審に思ったのだろう、傘を借りるとき、女中はなにやら敵意のある眼でこちらを見た。

住居は浅間神社の西で、井宮という処だと云った。駿府城の外曲輪をまわり、武家屋敷の裏をぬけてゆくと、まもなく向うに賤機山の緑がけぶるように見えてきた。……金沢に比べると町そのものも小さいし、家並も低く狭かった。そして、十丁ばかりも歩くと、その家並もまばらになり、左にひろく、荒地や畑や、安倍川の流れなどが眺められた。

又三郎はふと立停った。

道の右側に一軒だけ離れた家があり、垣に添って山吹の花が咲いていた。その鮮やかな色に眼をひかれたのである。彼はわれ知らずそっちへ近よった。山吹は竹の四つ目垣の中にあるのだが、枝は垣の外まで伸びていた。