Classiques japonais avec furigana
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ゆきたたき
雪たたき
幸田 露伴
Lisez 雪たたき (ゆきたたき) de 幸田 露伴 (こうだろはん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 132 caractères · 56 écrans
生命にもかかるの一語は低い声ではあったが耳に立たぬわけには行かなかった。
「ナニ、生命にもかかる。」
最高級の言葉を使ったのを福々爺は一寸咎めた迄ではあるが、女に取ってはそれが言葉甲斐の有ったので気がはずむのであろう、やや勢込んで、
「ハイ、そうおッしゃられたのでござりまする。全く彼の笛が無いとありましては、わたくし共めまでも何の様な……」
「いや、聟殿があれを二の無いものに大事にして居らるるは予て知ってもおるが、……多寡が一管の古物じゃまで。ハハハ、何でこのわし程のものの娘の生命にかかろう。帰って申せ、わしが詫びてやる、心配には及ばぬとナ。女は夫を持つと気が小さくなるというが、娘の時のあれは困り者のほどな大気の者であったが、余程聟殿を大事にかけていると見えて、大層女らしくなり居ったナ。好いわ、それも夫婦中が細やかなからじゃ。ハハハハ。」
「…………」
「分らぬか、まだ。よいか、わしが無理借りに此方へ借りて来て、七ツ下りの雨と五十からの芸事、とても上りかぬると謗らるるを関わず、しきりに吹習うている中に、人の居らぬ他所へ持って出ての帰るさに取落して終うた、気が付いて探したが、かいくれ見えぬ、相済まぬことをした、と指を突いてわしがあやまったら聟殿は頬を膨らしても何様にもなるまい。