Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきとどろ

雪と泥

山本 周五郎

Lisez 雪と泥 (ゆきとどろ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 993 caractères · 40 écrans

Aozora Bunko

「本当に好きになると、その人の顔が思いだせなくなるというね」折之助が云った、「私も夜なかなどに思いだそうとするけれども、どうしても顔が思いうかんでこないんだ」

「お願いですからそんなふうに仰しゃらないで」

「だって本当に思いだせないんだよ」

「お願いですから」おしのは哀願するように云った、「そんなふうに仰しゃられると、あたし苦しくって、どうしていいかわからなくなりますわ」

「苦しむことなんかありゃしない、やがて二人はいっしょになるんじゃないか」

「いいえだめ、そんなことできやしませんわ」

「いやできるよ」折之助はきまじめに云った、「町家から嫁を迎えることぐらい、武家にだって幾らも例があるんだ、少しは面倒な手続きや条件はあるかもしれないが、私は必ず父を説きふせてみせるよ」

「それなら証拠をみせて下すって」

「みせられるならもちろんみせるよ」

おしのはじっと折之助をみつめ、それから卒然と立って、折之助の側へ来て坐った。

「こうさせて頂いていいわね」彼女はそう云いながら、折之助の持っている盃を取った。

「あなたのお盃で頂かせて、ね、いいでしょ」

「いいけれども、大丈夫かな、あんまり酔って、いつかのように気持が悪くなると困るよ」