Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきのよる

雪の夜

織田 作之助

Lisez 雪の夜 (ゆきのよる) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 221 caractères · 23 écrans

Aozora Bunko

睨みつけたまま通りすぎようとしたらしいが、思い直したのか、寄って来て、

「久し振りやないか」

硬ばった声だった。

「まあ、知ったはりまんのん?」

同じ傘の中の女は土地の者だが、臨機応変の大阪弁も使う。すると、客は、

「そや、昔の友達や」

――と知られて女の手前はばかるようなそんな安サラリーマンではない。この声にはまるみがあった。そんな今の身分かと、咄嗟に見てとって、易者は一層自分を恥じ、鉛のようにさびしく黙っていた。

「おい、坂田君、僕や、松本やがな」

忘れていたんかと、肩を敲かれそうになったのを、易者はびくっと身を退けて、やっと、

「五年振りやな」

小さく言った。

忘れている筈はない。忘れたかったぐらいであると、松本の顔を見上げた。習慣でしぜん客の人相を見る姿勢に似たが、これが自分を苦しめて来た男の顔かと、心は安らかである筈もなかった。眼の玉が濡れたように薄茶色を帯びて、眉毛の生尻が青々と毛深く、いかにも西洋人めいた生々しい逞しさは、五年前と変っていない。眼尻の皺もなにかいやらしかった。ああ瞳は無事だった筈がないと、その頃思わせたのも皆この顔の印象から来ていた。