Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきのよる

雪の夜

織田 作之助

Lisez 雪の夜 (ゆきのよる) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 221 caractères · 23 écrans

Aozora Bunko

身を切られる想いに後悔もされたが、しかし、もうチップを置かぬような野暮な客ではなかった。商業学校へ四年までいったと、うなずける固ぐるしい物の言い方だったが、しかし、だんだんに阿呆のようにさばけて、たちまち瞳をナンバーワンにしてやった。そして二月経ったが、手一つ握るのも躊躇される気の弱さだった。手相見てやろかと、それがやっとのことだった。手相にはかねがね趣味をもっていて、たまに当るようなこともあった。

瞳の手は案外に荒れてザラザラしていたが、坂田は肩の柔かさを想像していた。眉毛が濃く、奥眼だったが、白眼までも黒く見えた。耳の肉がうすく、根まで透いていた。背が高く、きりっと草履をはいて、足袋の恰好がよかった。傍へ来られると、坂田はどきんどきんと胸が高まって、郵便局の貯金をすっかりおろしていることなど、忘れたかった。印刷を請負うのにも、近頃は前金をとり、不意の活字は同業者のところへ借りに走っていた。仕事も粗雑で、当然註文が少かった。

それでも、せがまれるままに随分ものも買ってやった。なお二百円の金を無理算段して、神経痛だという瞳を温泉へ連れて行った。十日経って大阪へ帰った。