Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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せつれいきじ

雪霊記事

泉 鏡花

Lisez 雪霊記事 (せつれいきじ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 532 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

夢にばかり、現にばかり、十幾年。

不思議にここで逢いました――面影は、黒髪に笄して、雪の裲襠した貴夫人のように遥に思ったのとは全然違いました。黒繻子の襟のかかった縞の小袖に、ちっとすき切れのあるばかり、空色の絹のおなじ襟のかかった筒袖を、帯も見えないくらい引合せて、細りと着ていました。

その姿で手をつきました。ああ、うつくしい白い指、結立ての品のいい円髷の、情らしい柔順な髱の耳朶かけて、雪なす項が優しく清らかに俯向いたのです。

生意気に杖を持って立っているのが、目くるめくばかりに思われました。

「私は……関……」

と名を申して、

「蔦屋さんのお嬢さんに、お目にかかりたくて参りました。」

「米は私でございます。」

と顔を上げて、清しい目で熟と視ました。

私の額は汗ばんだ。――あのいつか額に置かれた、手の影ばかり白く映る。

「まあ、関さん。――おとなにおなりなさいました……」

これですもの、可懐さはどんなでしょう。

しかし、ここで私は初恋、片おもい、恋の愚痴を言うのではありません。

……この凄い吹雪の夜、不思議な事に出あいました、そのお話をするのであります。