Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きりのなか

霧の中

豊島 与志雄

Lisez 霧の中 (きりのなか) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 920 caractères · 40 écrans

Aozora Bunko

堰の水音がしてるだけで、しいんとした夜である。水は川にも田にも満々と湛えている。川辺の猫柳が奇怪な形で蹲っている。時とすると、行手の道の上に、小坊主がすっくと立って、じゃぶりと川の中に飛びこむ。川獺のとんきょうな奴だ。それももう人を化かすことは出来ない。去年の秋には、村外れの爺さんの大きな藻蟹のウケに一匹はいりこんで、まんまと生捕られ、爺さんの自慢の毛皮となっている。河童なんかも、もう夢の世界に逃げこんでしまっている。それでも、夜の川辺には、何かしら奇怪な不気味なものがうろついている。だがみんな影だけだ。ほうほう鳥が、濁りのない落着いた声で鳴いている。ほう、ほう……ほう、ほう……。近いようでもあり、遠いようでもある。決して一つ処にじっとしていない。空には星がきらきら光っている。

目指す水口にやって行く。ウケを五分の四ほど水に沈め、他は水草や泥でせき切り、ウケの上にも水草や泥をのせておく。そして水を二三掬いあびせる。それですんだ。田にはたくさんの魚がのぼっていそうだ。魚ばかりではない。何かえたいの知れないものもいる。みんな、川に戻る時ウケにはいるんだ。