Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きりのなか
霧の中
豊島 与志雄
Lisez 霧の中 (きりのなか) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 920 caractères · 40 écrans
下から見上げると、接の骨と鼻の穴がいやに大きく、髪の毛が後ろに長々となびいてるような感じだ。正夫は大きく眼を開いて、じっと眺めた。眼がさめたの? と静かに囁く声がして、全体の姿がゆらりと動いた。静に眠るんだよ、とまた静かな声がして、父は頬の肉一つ動かさず、そのまま立上って、すーと出て行った。
正夫は半身を起こした。それから、向うに眠ってる山根さんの方に一瞥をなげ、そっと起上って、室から出て行った。父は茶の間に坐っていた。正夫の姿を見て、驚きもせず、やさしく微笑んだ。とてもいい晩だ、霧が一面にかけてるよ、といって立上った。正夫は着物をきてきた。父は玄関に待っていた。二人で外に出た。
十メートル先は見えないほどの、東京には珍らしい濃霧だった。まばらな街燈の光が、幾筋もの縞になって浮び、屋根の先や木の枝が宙にかかり、其他は一面に仄白い渦巻きだった。眼や鼻や唇にまで霧はしみこんできた。暫く黙って歩いているうち、南さんはふと足をとめて、ほう……と眺め入った。そこに、坂塀から檜葉の枝がさし出ていた。こんなのを見たことがあるかい、と南さんは正夫を顧みていった。