Classiques japonais avec furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lisez 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 593 caractères · 325 écrans
わるいところを見つけられたと、豹一は真赧になってしまったが、多鶴子は、
「まあ!」子供の盗み食いを見つけた母親のような顔になった。たとえ、その時豹一が子供のように見えなくとも、そしてまた、どんな見つけられてわるいようなことをしていたとしても、この時の豹一なら多鶴子の気に入った筈だ。佐古のいやな顔を見たあとだったからである。「さあ、いやな奴を追っぱらった。もう二人きりね」
多鶴子は豹一の傍にぴったり体をつけて坐りながら言った。昨夜から妙にそわそわと落ち着かなかった母親も、多鶴子に無理に説き伏せられて、温泉へ行ってしまった。残るのは女中だけだった。
豹一と多鶴子の仲が心配していた通りになったとはっきりわかると、ひそかに豹一に恋をしている女中は、すっかりしょげてしまって、溜息ばかしついていた。泪ぐむことさえあった。
多鶴子はさすがにそれを気づくと、豹一にそのことを冗談めかして言った。
「あんた罪な人ね」恋をすると、いくらか下品な調子が出るのだろうか、多鶴子はそんな風に蓮っ葉に言って、豹一の膝をつねるのだった。
「痛ア!」そんな声を出す自分を、豹一はさすがに浅ましいと思い、昨夜来谷町九丁目の家へ帰らずにいることをふっと思い出し、「お帰り、えらい遅かったな。