Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あおきのしゅっきょう

青木の出京

菊池 寛

Lisez 青木の出京 (あおきのしゅっきょう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 513 caractères · 43 écrans

Aozora Bunko

雄吉は水を浴びたようにひやりとした。お前は自分一人の妙な感激から、責任のある身体を、自ら求めて危難に陥れてもいいのかと、彼の良心が囁いた。が、雄吉の陶酔と感激――人生の本当のものに対する感激ではなくして、人生の虚偽に対する危険なる感激――とに耽溺している彼には、そうした良心の声は、ほとんどなんの力さえなかった。

彼はその夜、青木の帰るのが待たれた。青木がその小切手に対して、明快な弁解をしてくれるかも知れないという、空疎な希望もあった。また青木が、自分の罪を自分で背負って、主人の前に懺悔する。すると、主人は雄吉の潔白とその犠牲的行動とに感激する。そして、雄吉の友情に免じて青木の罪をも不問にしてくれる。雄吉はそうしたばからしい空頼みにも耽っていた。

青木が帰ったのは、十一時を回っていた頃であった。彼はやはり、いつものように、つんと取り澄ました彼だった。雄吉が、常に青木に対して持っていた遠慮も、今日ばかりは、少しも存在しなかった。

「おい! 青木、ちょっとききたいことがあるんだがね」と、雄吉は青木のお株を奪ったように、冷静であった。

「なんだ!」と、青木は雄吉の態度が、少し癪に触ったと見え、雄吉の目の前に、突っ立ちながら答えた。