Classiques japonais avec furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lisez 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 879 caractères · 242 écrans
。ヘルマン氏光の中へ現われ、光の中なる自動車に乗る。この自動車が邸宅へはいるまで、自動車と共に探照燈の光が山を動いて行くのだそうで、この探照燈は私が行ったとき、まだ廃屋の塔の中にそのまま置かれていた。軍艦などの探照燈と全く同じ大袈裟な物々しい物であった。
もう一つ、ブッタマゲルのはヘルマン先生の酒倉だ。庭の中の山の中腹へ横穴をあけて、当時の金で八万円の洋酒をとりよせ、穴の中へつめこんだ。驚くべき大穴倉だが、実に驚くべき洋酒の山で、私が行ったときも、ギッシリアキビンの山がつまっていたが、奥には本物もあったかも知れぬ。そこでヘルマン先生は、かねて飲み仲間の親友マドロスに隣地へ小意気なバンガローをたててやり、二人でひねもす、よもすがら、飲んでいたそうで、ヘルマン先生なりふり構わず、ボロ服に、貧乏時代からのマドロスパイプをくわえたまま、酒の外には余念がなかったそうである。
独探のケンギを受けて、大正五年だかに国外退去を命じられたという。無実のケンギで、探照燈がたたって怪しまれたという話であったが、快男子を無益に苦しめたものである。飲み仲間のいたバンガローに当時は日本人の老画家が住んでいて、廃屋廃園に、私達を案内してくれ、ヘルマン氏の思い出をきかせてくれたのであった。