Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lisez 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 879 caractères · 242 écrans

Aozora Bunko

女と私は看板後あいびきの約束を結び、ともかく中也だけは吉原へ送りこんでこなければならぬ段となったが、ノビてしまうと容易なことでは目を覚さず、もとより洋服をきせうる段ではない。仕方がないから裸の中也の手をひッぱって外へでると、歩きながらも八分は居眠り、八十の老爺のように腰をまげて、頭をたれ、がくんがくんうなずきながら、よろよろふらふら、私に手をひっぱられてついてくる。うしろから女給が洋服をもってきてくれる。裸で道中なるものかという鉄則を破って目出たく妓楼へ押しこむことができたが、三軒ぐらい門前払いをくわされるうちに、ようやく中也もいくらか正気づいて、泊めてもらうことができた。そのとき入口をあがりこんだ中也が急に大きな声で、

「ヤヨ、女はおらぬか、女は」

と叫んで、キョロキョロすると、

「何を言ってるのさ。この酔っ払い」

娼妓が腹立たしげに突きとばしたので、中也はよろけて、ひっくりかえってしまった。それを眺めて、私達は戻ったのである。

私が連れこまれた女のアパートは、窓の外に医院があって薬品の匂いの漂う部屋であった。女はううんと背伸びをして、ふと気がついて、背伸びをしたいなと思う時でも、する気にならない時があるわね、と言った。