Classiques japonais avec furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lisez 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 879 caractères · 242 écrans
だが、黄河に関する支那の文献に就て教えていただいた。尤もこの方は支那の本だから、私には読む学力もないので、本の名を承ったというだけで敬遠せざるを得なかった。
実現の見込みのない仕事、つまり全然無意味なことをやれと云っても無理である。私はつくづく思い知った。これが小説なら敗戦後も十年二十年たったあとでは出版の見込もあるかも知れず、死んだあとでもという考えも有りうるけれども、支那の映画などとは全然無意味で、敗戦と共に永遠に流れて消える水の泡にすぎない。水の泡をつくれと云っても無理だ。尤も黄河の読書はたのしかった。殆ど毎日のように私は神田、本郷、早稲田、その他至るところの古本屋を廻り歩いて本をさがし、黄河以外の支那に就ても書く為には読みすぎるほど読んだけれども、まったく脚本を書く気持にはならない。硫黄島が玉砕し、沖縄が落ち、二ヶ月に一度ぐらい専務に会うと、そろそろ書いてくれ、と催促されるが、もとより専務は会社内の体裁だけを気にしているので、撮影が不可能なことは分りきっている。けれども専務の関心が専ら会社内の形式だけであることが一そう私にはつらいので、ともかく月給を貰ってるのだから書かねばならぬと考えるが、そういう義務によって全然空虚な仕事をやりうるものではない。