Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かぜはささやく

風はささやく

小川 未明

Lisez 風はささやく (かぜはささやく) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 961 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

橋の畔にあった食堂は、もうそこになかった。あのころの娘は、すべてお嫁にいき、母親となって、生まれた子供も、大きくなったであろう。それだけでなく、あのころの男の子は、兵隊にいき、なかには、すでに戦死したものもあるであろう。こう考えると、彼は、歩きながら感慨無量なのでした。記憶に残る床屋があったので入りました。もちろん主人もちがっていれば、内部のようすも変わっていました。それよりも驚いたのは、鏡に映った自分の姿でありました。頭髪は、半分白く、顔には小じわが寄って、当年の若々しさが、まったく消え失せてしまったことです。

ふたたび、路上へ出ると、風が、耳もとで、「みんな流れのごとく去ってしまった。」と、ささやきました。彼は頼りなく、さびしく、独りうなずいたのでした。

丘へ上がると、春のころは、新緑が夢見るように煙った、たくさんの木立は、いつのまにかきられて、わずかしか残っていなかった。足もとには、小さな家屋がたてこんで、物干しの洗濯物が、夏空の下で、風にひるがえり、すこしばかりの空き地で、子供が、鬼ごっこをして遊んでいました。

一人ハーモニカを持った、男の子がいました。