Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふうちそう
風知草
宮本 百合子
Lisez 風知草 (ふうちそう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 107 caractères · 88 écrans
いつみても、どんなに待っていても、夜中でさえもその風知草の葉が動くということはなかった。夏は、六十八年ぶりという暑熱で、温室のように傾斜したガラス屋根の建物を蒸し、焙りこげつかせていたのに。――
ひろ子は思い出にせき上げた。総て、すべてのこういうことを、どうして重吉に話しきれるだろう。重吉が帰って、こうして、ひろ子の息づきはゆるやかになり、自分を崩すまいとする緊張から解放されて、はじめて、自分のこれまでの辛さや、それに耐えている女がはために与えるこわらしさを見ることが出来た。ひろ子をよく知っていて、つき合いの間には入りくんだいきさつもあった或る作家が、短篇の中に気質のちがう姉妹を扱っていたことがあった。情感に生きる妹娘が所謂身もちもいい、しっかりものの姉について「そりゃ姉さんは親類じゅうの褒めものなんだから」という意味を云うくだりがあった。第三者にはまるで、ひろ子にかかわりない一つの物語としてあらわされた会話であったが、ひろ子は、その作者がその作者のもちまえの声で、ひろ子に向って其を云っている響を感じたことがあった。そのとき、ひろ子は、その本を手にもって、永い間、その数行の文字を見つめていた。