Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょくま

食魔

岡本 かの子

Lisez 食魔 (しょくま) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 911 caractères · 74 écrans

Aozora Bunko

とか噂して悦んでいた。

その留守の間、彼は糊臭い仕事場で、法帖作りをやっているのだが、墨色に多少の変化こそあれ蝉翅搨といったところで、烏金搨といったところで再び生物の上には戻って来ぬ過去そのものを色にしたような非情な黒に過ぎない。その黒へもって行って寒白い空閑を抜いて浮出す拓本の字劃というものは少年の鼈四郎にとってまたあまりに寂しいものであった。「雨降りあとじゃ、川へいて、雑魚なと、取って来なはれ、あんじょ、おいしゅう煮て、食べまひょ」継ものをしていた母親がいった。鼈四郎は笊を持って堤を越え川へ下りて行く。

その頃まだ加茂川にも小魚がいた。季節季節によって、鮴、川鯊、鮠、雨降り揚句には鮒や鰻も浮出てとんだ獲ものもあった。こちらの河原には近所の子供の一群がすでに漁り騒いでいる。むこうの土手では摘草の一家族が水ぎわまでも摘み下りている。鞍馬へ岐れ路の堤の辺には日傘をさした人影も増えている。境遇に負けて人臆れのする少年であった鼈四郎は、これ等の人気を避けて、土手の屈曲の影になる川の枝流れに、芽出し柳の参差を盾に、姿を隠すようにして漁った。すみれ草が甘く匂う。