Classiques japonais avec furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Lisez 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) de 下村 千秋 (しもむらちあき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 478 caractères · 31 écrans
いくら百姓が馬鹿でも、いよいよ何んにも食えなくなったら、黙って死にやしまい、と俺達若者は言ってるです」
「県庁の方から、救済金や米が来ないですか」
「まだなんにも来ません。たとえそれが来たとこで、やっと生かして貰えるのが関の山で、これから先の百姓の暮しが根っから救われる訳じゃないから、先のことを考えりゃ、みんな真暗な気持です」
私は、この旅の帰途、私の郷里の百姓の友人の口からも、これと同じような意味のことを聞き、百姓の生活に対して、絶望的の気持ちしか抱いていないのは、ひとりこの青森県下の凶作地の青年ばかりではないと思ったのであった。しかし、この飢饉地の青年の口からこれを聞いたとき、私は、この旅に出る時に知りたいと思った一つの疑問――百姓達の胸の奥に潜んでいる考えの一つを伺い得たと思ったのであった。
このあたりの自然は大陸的で、朗らかであった。尺余の雪が一面に光り、タバコ色の落葉松の梢が美しく連なり、その彼方には、銀色の八甲田山がなだらかに走っていて、私は、思わず言葉に出した。
「しかし、このあたりの景色はいいねえ!」
すると、その青年は、こういったのである。