Classiques japonais avec furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Lisez 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) de 下村 千秋 (しもむらちあき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 478 caractères · 31 écrans
仕方ねえから、今日は、馬を取りかえして来べと思って出かけて行ったところが、それはかんべんしてくれろ、馬を持って行かれてしまっては、わし等親子四人が干ぼしになるだと言われただ。相手は馬車曳きだからな。そでも、五両札一枚出して、今年はこれで我慢してくれろ、と拝むだねえか、なア、おかみさん、そこでわしは言っただよ。ようし、こうなっちゃ、お互いさまだ。干ぼしになって死ぬ時ア一緒に死ぬべえ、と言って、その五両札へ二両のお釣りを置いて帰って来ただが、おかみさん、去年は豊年で、それでやっぱり飢饉と同じことだった。つまり、豊年飢饉てえ奴だというが、わしもこの年になって始めて聞いた。ばかりでねえ、始めて出会った。なアこういうことア一度起ったら毎年起って、それが年々悪くなるばかりだ。そうなりゃ、豊年もくそもねえじゃねえか。……そこへ持って来て、今年は飢饉の飢饉、これでは来年は、百姓奴等は、干ぼしになって飢え死んで野たれ死んで、それで足りなくて、首をくくって死ぬ、ということになるだア。べら棒め……なア! おかみさん、わしも一人の息子を満洲の兵隊へ出しているだが、こないだも手紙で言ってやっただ。