Classiques japonais avec furigana
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くびちょうだい
首頂戴
国枝 史郎
Lisez 首頂戴 (くびちょうだい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 756 caractères · 20 écrans
門の右手には紅白の幔幕、突棒刺叉捩など、さも厳しく立て並べてある。門を離れた左手にあるは、青竹で作った菱垣で、檜逆目のございません板へ、徳川天一坊殿御旅館と、墨色鮮かに書いてある。正面一杯に張り廻された、葵御紋の紫地の幕に、高張提燈の火が映じ、荘厳の気を漂わせている。
ヌッと現われた頬髯のある武士。
「赤川大膳様ご外出でござる。駕籠を!」
と呼ぶやつを手で制し、
「供は不用ぬよ」
と抜出した。
二、三町行くと懐中から、頭巾を取り出したものである。と見ると一軒の駕籠屋がある。つと這入った赤川大膳、
「駕籠一挺、早いところを」
ポンと乗ると駆け出させた。本陣から駕籠に乗らなかったのは、秘密を尚んだからであろう。
「山内伊賀殿はさすがに知恵者、旨いところを見抜かれたものだ。世間に評判を立てて置いて、迎えに来るのを待っている! 成程な噂に高い乞食、その辺に目星をつけているのだろう。そこで俺が迎いに行く。さあて何んな応待で其奴の本性見破ろうかな? 意外に偉い人物で、恥でも掻かされたら耐らない。ヤクザ者なら叩っ切る。こっちの方から手間暇は不可ぬ。野武士時代の蛮勇を揮い、スポリと一刀に仕止めるだけさ。