Classiques japonais avec furigana
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たかしまいし
高島異誌
国枝 史郎
Lisez 高島異誌 (たかしまいし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 007 caractères · 26 écrans
併し老僧は挨拶もせず、只凝然と立っている。昔の俤と変りが無いが頸の辺に太刀傷が一筋細く付いているのが、些昔と異っている。
「どうじゃな?」
と僧はやがて云った。
「今の境遇は楽しいかな」
「はい」と純八は慇懃に、
「此上も無く結構でござります」
「成程」
と僧は笑い乍ら「何時迄も今の境遇に坐っていたいと思うかな?」
「何時迄も居り度うござります」
「成程」
と僧は復笑って「併し私にはそうは見えぬ、お前は何うやら厭飽たらしい」
「いえいえ、そんな事はございません」
「では何故善根を積まぬのじゃ?」
「え、善根と仰有いますと?」
「殺生などをしない事じゃ」
「決して殺生などは致しませぬ」
「お前は蛇を殺すじゃないか」
「あれは悪虫でございます故……」
「ふん」と僧は嘲笑った。「それが大変な間違いじゃ。蛇は決して悪虫では無い。……ましてお前の身の上に執っては大変為になる虫なのじゃ!」
僧は暫く考えていたが、
「お前の好運は尽きたのじゃぞ!」
と不意に鋭く叱※(「口+它」、第3水準1-14-88)した。
「栄枯盛衰の移り変りの如何に劇しく恐ろしいかという事を、汝其処に居て見るがよいわ!」