Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Lisez 高野聖 (げかしつ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 264 caractères · 104 écrans
「ええ途方もない。どうして安心がなるものか」
呆れはてて老夫は呟けば、御者ははじめて顧みつ。
「それで安心ができなけりゃ、御自分の脚で歩くです」
「はいはい。それは御深切に」
老夫は腹だたしげに御者の面を偸視せり。
後れたる人力車は次の建場にてまた一人を増して、後押しを加えたれども、なおいまだ逮ばざるより、車夫らはますます発憤して、悶ゆる折から松並み木の中ほどにて、前面より空車を挽き来たる二人の車夫に出会いぬ。行き違いさまに、綱曳きは血声を振り立て、
「後生だい、手を仮してくんねえか。あの瓦多馬車の畜生、乗っ越さねえじゃ」
「こっとらの顔が立たねえんだ」と他の一箇は叫べり。
血気事を好む徒は、応と言うがままにその車を道ばたに棄てて、総勢五人の車夫は揉みに揉んで駈けたりければ、二、三町ならずして敵に逐い着き、しばらくは相並びて互いに一歩を争いぬ。
そのとき車夫はいっせいに吶喊して馬を駭ろかせり。馬は懾えて躍り狂いぬ。車はこれがために傾斜して、まさに乗り合いを振り落とさんとせり。
恐怖、叫喚、騒擾、地震における惨状は馬車の中に顕われたり。冷々然たるはひとりかの怪しき美人のみ。