Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たましいのあえぎ

魂の喘ぎ

大倉 燁子

Lisez 魂の喘ぎ (たましいのあえぎ) de 大倉 燁子 (おおくらてるこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 081 caractères · 20 écrans

Aozora Bunko

僕は体がかたくなって、しばらく見惚れたまま動けなかったのを覚えている。世の中にはこんな美しい女もあるものかとすっかり感心しちゃって、美人の噂が出ると僕は定って藤原夫人の名を云ったものだった」

「夫人はどこから嫁に来たんだね?」

「それがさ。所謂氏なくして玉の輿に乗った人で、日本橋辺の旧い薬種屋の娘で女医学校を卒業し就職を求めにある医学博士を訪問している時、偶然そこへ乗合わせていた先代侯爵が見染めて、親類中の大反対を押し切って妻に迎えたんだそうだ。薬種屋の両親は娘の出世、貴族と縁組みするのは家の名誉だと有頂天になっていたし、娘の方は映画なんかで見る外国の貴婦人の華やかな生活を連想して旧い習慣にとらわれている日本の貴族の生活というものを研究してもみなかった。だから結婚後の家庭生活はあんまり幸福でなかったらしい。彼女の亡くなった時、お通夜に行ったものから聞いたが、姑だの、母を異にした――、つまり妾腹だな、そういう小姑が多数いる間に挟まって小さくなり、平民の娘、平民の娘と蔑視まれつづけて、針の蓆にいるような辛い思いをしていたという。ああいう社会で氏のないということが、どんなに肩身が狭く、またどんなに賤しまれるかということを彼女は全く知らなかったんだね」