Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まぞう
魔像
林 不忘
Lisez 魔像 (まぞう) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 131 494 caractères · 260 écrans
と、同じ秒刻に、反対側の、奥の間へ通ずる襖がサラリとあいた。声がした。
「おい、ここだ。ここだ」
ギョッ! として振り返った一同の眼にうつったのは、やはり、神尾喬之助……。
神出鬼没という言葉があるが、これはまたどうしたというのだ!
同じ人間が、出て行くと同時に、反対側から、はいって来る――。
一同は、廻れ右をして奥へ斬尖を揃えながら、コソコソ顔を見合って、首を捻った。
四
村井長庵は、ピシリ! と大きな音を立てて、裸の尻ッぺたを叩いた。赤い血が、小さな花のように咲いて、蚊の屍骸が一匹、押し葉のように潰れて貼りついていた。
長庵は、舌打ちをして、蚊の屍体を摘み上げた。
「腹に縞がある。藪っ蚊だ。こいつは非道えや」
うす闇黒の中で、ひとり言をいった。言いながら、医者だけにクスリと笑って、
「藪のところへ、藪ッ蚊とは、この野郎、洒落たやつじゃアねえか」
つまらないことに感心をして、独りでニヤニヤ笑っているのだが、自分の事を藪と知っているのは、長庵、悪党だけに中なかおのれを心得ている。
「ただの一夜を七夕さまが、それも雨ふりゃ逢わずに帰る。何と逢瀬があわれやら――」