Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ましょうのおんな

魔性の女

大倉 燁子

Lisez 魔性の女 (ましょうのおんな) de 大倉 燁子 (おおくらてるこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 898 caractères · 20 écrans

Aozora Bunko

彼女は盃を彼の手に渡しながら、

「今日は無事でしたね」

と云った。

「何が?」

「何がって、オホホホホ桃子さんとのことが」

本庄はむっつりと口を結んだ。

「ねえ。私と別れて、あのひとと結婚する御相談が纏ったの? 随分酷い計画をなさる人達ね。でも、私、あなたが何と仰しゃっても、別れるのはいや」

と云って、彼にすり寄り、手を握って彼の持っている盃に唇をつけて一口飲んだ。

「ねえ、あなたも飲んでよ」

「いやだ」

彼は音を立てて荒々しく盃を置いた。

「いやなはずね、もういい加減まわっているんですもの。桃子さんのお酌でなくっちゃおいしくない?」

「何を云う?」

「ただ訊いてるのよ。私の愛情がうるさいんだって? 罰あたりねえ、あなたって人は――、誰のおかげで、若いあなたが、特別にこんなに出世して、いい地位を得たのか、忘れたの?」

彼の膝に手を置いて、執拗な凝視をつづけながら、

「みんな、私の、いいえ、霊のおかげじゃありませんか。それがなかったら、重役候補はおろか、下っ葉の走り使いがせいぜいよ。その大切な私を裏切って、桃子さんなんかと一緒になりたいばかりに、別れるの、殺してやるのって、大きな口もいい加減になさらないと、世間の物笑いになりますわよ」