Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まと
魔都
久生 十蘭
Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans
踏絵はツト顔を挙げると、思い迫ったような口調で、
「ねえ、お前、あの取引から手を退かない」
山木は不意を喰って、
「えッ、取引って、二百九十五カラットのことか」
「莫迦な念を押さなくてもいい。今までいくどもいってるじゃないか」
山木は貧乏揺りをしながら、
「それァ困るよ。他ならぬ君の頼みでもそれは困る」
と常にもなく真顔になって、
「俺ァかねがね聞きたいと思ってたんだ。どうしてそうしつこく手を退け手を退けというんだい」
「あまり仕事が大き過ぎるからさ。お前のようなアンポンタンの手に負えるもんか。止した方が身のためだ。わちきはつくづくそう思う」
「大きけりゃ結構じゃないか。……大きいからこそこうして骨身を惜しまずに駆けずり廻ってるんじゃないか。君にはまだいわなかったが、犬居仁平の方の筋道もつき、ようやくモノになりかかっているというのに、どうして今更手が退けるもんか。それァ無理だよ」
といって踏絵の手を取ると、
「おい、踏ちゃん。俺ァもうスッテンなんだぜ、知ってるかい。スッテンどころか百万からの借金でもう二進も三進も行かなくなってるんだ。身から出た錆だといえばそれまでだが、こいつをモノにしなけりゃ、俺ァもう浮かび上ることが出来ないんだ。