Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まと
魔都
久生 十蘭
Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans
真名古ぐらいになるとさすがにチョロッカな扱いは受けぬのである。女将に案内させて二階へ上って行くと、まず東側の、山木とジャネットが泊ったという部屋へ入って行く。思うに真名古は取あえず印東忠介が口走ったという、山木が「すず本」を抜け出した一件の実証をあげるつもりらしい。山木の部屋は一間の出窓の附いた六畳間で、出窓の下には小さな袋戸棚がある。窓には低い忍返しがついていて、それを越して、消防署の火見櫓と、川向うの聖路加病院の大きな建物が見える。窓の下は料理場の棟が直角に続いていて、その端は石上という質屋の土蔵の横ッ腹へ突き当っている。なるほどわけなく抜け出せそうである。真名古はやってみる。出窓の上框へ両手を掛け、体を浮かして足を縮めると、爪先はひとりでに忍返しを越えて戸外へ出る。そっと爪先をおろすと、そこがちょうど屋根の棟なのである。
真名古は懐中電灯で棟瓦の上を照らしながら、這うようにして進んでゆく。格別目にあたるようなものはない。こんなふうにして棟の終りまで行きつく。四尺ほどの細い露次を隔てて向うが土蔵の壁になる。土蔵の壁には常式通りに大きな貝折釘がうち込んである。