Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まと

魔都

久生 十蘭

Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans

Aozora Bunko

「……衣裳戸棚、……机、……穴蔵、……料理場……。そうだ。なるほど、あそこだったんだ。……なぜ、気がつかなかったんだろう。あんなたわいもないことになぜ気がつかなかった。……何だかそんな気がしていた。それなのに、あそこだけ見落した。……なぜだろう。これが不思議でたまらない」

そういって、時計を見上げ、

「まだ間に合う! どんなことがあってもやって見せる。どんなことがあッても! あいつなんぞに突き落されるものか。……あいつが勝つか、俺が勝つか!」

まるで人が違ったような荒々しい身振りで立上ると、帽子を取上げて扉の方へ行きかかる。

時計が三時五分前を報じる。

すると、あたかもこれが合図のように、遠い廊下の端から陰々たる足音が起って、それが次第にこっちの方へ近づいて来る。足をすこし引きずるような、そのくせ何か殺気を含んだ、極めて特徴のある足音が、底気味の悪い音を立てながらゆっくりとこちらへやって来る。

警視庁では誰一人この恐ろしげな足音を知らぬものはない。十年も聞き馴れている人間でもこの音を聞くと、誰も彼も何の理由もなく奇妙な恐怖に襲われる。

真名古がやって来たのだ。