Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まと
魔都
久生 十蘭
Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans
ハッチソンの途切れ途切れな呟き声がだんだん間遠になる。眼の中の光がぼんやりとして来て、追々に引く息ばかりになり、痙攣のような烈しい身顫いを一つすると、見る見る相恰が変って行って、死人に共通した、トホンとした間の抜けた顔になってしまった。
「おい、ハッチソン」
もう返事はなかった。
長命寺の鐘がボーン。火の見櫓の上に、いつも新派悲劇の幕切に見るあの新月が。
この時戛々と靴音も高く、こなたに近づき来たる一個の人物あり、これぞ夜を警める警察官であった。例の塀の隙間のところまで通りかかって、フト頭を回らしてこの情景を眺めると、ギョッとしたようすで一二歩後えに瞠若したが、すぐ、佩剣の柄を握って、
「そこにいるのは誰だ」
と励声一番誰何すると、たじろぐ色もなく真名古の方に走り寄って来る。真名古は凝然と身動きもしない。
走り寄って来た警官は、咄嗟の間にこの場の成行を察すると、手を伸して真名古の襟首を掴む。その手首には早や捕繩が巻きつけられてあった。
真名古は顔をあげて警察官の面をふり仰ぐと、
「御苦労。……こんな事件が起きてしまって」
市郡の警察官にとって、真名古は一種の憧憬的人物である。