Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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かいじんじゅうまんかん

魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編

内田 魯庵

Lisez 魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編 (かいじんじゅうまんかん) de 内田 魯庵 (うちだろあん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 671 caractères · 55 écrans

Aozora Bunko

新流行のオリーブの中折の半分鍔を焼かれた上に泥塗れになってるのが転がっていた。滅茶々々に圧潰されたシルクハットが一段と悲惨さを添えていた。

其傍の鉋屑の中に、行末は誰が家の令嬢貴夫人の襟を飾ったかも知れない駝鳥ボアが水にショボ湿れてピシャ/\になっていたのが老いすがれた美人の衰えを見るように哀れであった。其外にも如何なる貴女紳士の春の粧いを凝らすの料ともなるべき粧飾品や化粧品が焦げたり泥塗れになったり破れたりしてそこらこゝらに狼籍散乱して、恰も平家の栄華の末路を偲ばせるような心地がした。

『どうです、洋物部の損害は?』と丁度居合わした半分真黒けな顔をした洋物部の主任に訊くと、

『全滅です、』と淋しげに笑った。

爰を通って新築の裏口から賄い場へ抜けると、其先きは焼け跡であった。奥蔵の※(「木+眉」、第3水準1-85-86)間を焼灰の堆かい上を蹈んで、半分落ち掛ってる黒焦げの桁を潜ると、柱一本も残らぬ焼原であった。

朦々と白い煙の立罩めた中に柱や棟木が重なって倒れ、真黒或は半焦になった材木の下に積重なった書籍が原形のまゝ黒焦げとなって、風に煽られる度に焼けた頁をヒラ/\と飛ばしていた。