Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
すし
鮨
岡本 かの子
Lisez 鮨 (すし) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 272 caractères · 26 écrans
客が情事めいたことをいって揶揄うと、ともよは口をちょっと尖らし、片方の肩を一しょに釣上げて
「困るわそんなこと、何とも返事できないわ」
という。さすがに、それには極く軽い媚びが声に捩れて消える。客は仄かな明るいものを自分の気持ちのなかに点じられて笑う。ともよは、その程度の福ずしの看板娘であった。
客のなかの湊というのは、五十過ぎぐらいの紳士で、濃い眉がしらから顔へかけて、憂愁の蔭を帯びている。時によっては、もっと老けて見え、場合によっては情熱的な壮年者にも見えるときもあった。けれども鋭い理智から来る一種の諦念といったようなものが、人柄の上に冴えて、苦味のある顔を柔和に磨いていた。
濃く縮れた髪の毛を、程よくもじょもじょに分け仏蘭西髭を生やしている。服装は赫い短靴を埃まみれにしてホームスパンを着ている時もあれば、少し古びた結城で着流しのときもある。独身者であることはたしかだが職業は誰にも判らず、店ではいつか先生と呼び馴れていた。鮨の食べ方は巧者であるが、強いて通がるところも無かった。
サビタのステッキを床にとんとつき、椅子に腰かけてから体を斜に鮨の握り台の方へ傾け、硝子箱の中に入っている材料を物憂そうに点検する。