Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖 (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 957 caractères · 114 écrans

Aozora Bunko

さすれば、あの多病薄命なお米も、今はこの阿波の国の人となっている筈だが、啓之助は、そのお米の身をどう始末してしまったのか、人には、おくびにもそれを洩らしたことがない。

と――一緒に、あの時、かれは太守阿波守からいいつけられて、このつるぎ山の間者牢へ、俵一八郎と妹のお鈴を護送してきている。一八郎は、今なお、世阿弥のいる瘤山よりまだ奥深い、一ノ森の山牢へ封じこめてあるが、妹のお鈴は、この冬の寒気に凍え死んでいた。

で、啓之助は、以来、お船手方の役目をかねつつ、時々、このつるぎ山の目付役を仰せつかって、月に一度ずつは、必ず山牢の様子を巡察することになっていた。

きょうも、実は、かれは山目付巡察の役目できていたのだが、そろそろ春めいてきたところから、食客の若公卿、家中のもてあまし者、竹屋三位卿が、なんでも同行するというので、はるばる、徳島の城下から、山支度と狩装束できたのはいいが、日置流自慢の竹屋卿の弓も、二、三日の小鳥追いに、あまり大した獲物がなかったので、すぐに飽きてしまった。

飽きたら先に徳島城へ帰るかと、啓之助が放っておくと、こんどは、まだ絶巓には氷原もあろうというのに、蟻の小道まで踏破しゆかねば、阿波守への土産話にならぬといいだして、駄々な若公卿の本領を発揮し、さんざんに、啓之助をてこずらせてきたところ