Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖 (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 957 caractères · 114 écrans

Aozora Bunko

で、一角が、

「一服やろうではないか」

千曲の板橋を渡るとすぐに、日当りのいい河原蓬へ腰をおろすと、

「よかろう――少し時間は惜しいが」

とお十夜も煙草入れを出して、きれいな玉石を床几にとった。

「まだまだ先は永いから、そうあせるには及ぶまい。おい、旅川氏」

「なんだ」

「少し休息してまいろう」

「さようか」

「貴公、あまり旅を好まぬとみえる」

「旅は好きだが、どうも、こんどの旅ははなはだ面白くない。人間の感情は正直だ、アテのない道かと思うと一日に十里の旅は楽でない」

「これは頼もしくない言葉。なぜ、今度の旅にアテがないと申されるか」

「孫兵衛や貴殿はいい。しかし、この周馬にとってみれば、こうまでしても、万吉や弦之丞を殺さねばならぬという必要がない」

「ばかなことを。墨屋敷を焼いたのはお綱の為業でござるぞ。また、お千絵をああして奪ったのは万吉でござるぞ、よいか! そしてそれを傀儡したやつは法月弦之丞ではないか。それでも貴公は、きゃつらに何の怨みもないか! いやさ、吾々と力を協せて、その怨みを思い知らせてやるという気が起こらぬのか」

「どうも大して起こらぬなあ」

「ちイッ。