Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖 (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 957 caractères · 114 écrans

Aozora Bunko

「いいでしょう、ほんとに」

その姿を見るともなしに見やりながら、啓之助は腕枕をかって、グッタリと横に寝ている、酒がさめたような血色をして、

「そんなにも大阪が恋しいか」

「そりゃあ……」

髪へ手を当てたまま、そこらに落ちた鬢止めを目で探して――

「生れた土地ですもの。それに、アアして、不意に来てしまったのですもの」

啓之助も、少し哀れげを催して、「じゃ、きっと半月ぐらいで帰ってこいよ」

「行ってもよろしゅうございますか」

「うむ」

「では、これから帰って、すぐに支度や何かをして」

女が、苦もなく急きだすのを見ると、かれの心はまた、たやすく手離したくないように動きだして、

「だが? ……まあ待て」と重苦しい口を濁して、そして、何かいおうとしたことまで黙ってしまった。お米は、かれの遅疑をみると、「いいとおっしゃったのでしょう、ね、あなた」

あわてて、一生懸命に、啓之助のそばへすりよって、男の体を抱くように、

「じらさないで、後生ですから」

と、機嫌をとると、

「エイ、娼婦みたいな真似をするな」

啓之助は、かえって癇にふれた声をして、お米を突き放して起き上がりざま、ふところからつかみだした船切手の木札を、女の膝へ叩きつけた。