Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖 (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 957 caractères · 114 écrans
孫兵衛は歩みよった順からまず中ノ湯の戸をぐわらッとあけて、ふと、脱衣場の棚をみると、女の帯と寝衣がおいてあった。
で孫兵衛。それを避けて上ノ湯の方へ歩みだした。板囲いの戸が細目に開いているので、覗いてみると、いッぱいな湯けむりで中はもうとしているが、チョロチョロと温泉が湧きこぼれる音のほか別に人気もないらしいので、スッと土間口へ足を入れ、腰の助広を取って棚へおこうとすると、からりと、鞘にふれて鳴ったものがある。
見ると、尺八、いや、それと同じような一節切の竹と天蓋。――これはまずい、あいにくとここにも誰か湯浴みをしているやつがある――と舌打ちをしてフト向うへ眸をこらすと、湯気にまぎらわしい鼠色の衣を着た一人の虚無僧、掛絡を外し、丸ぐけの帯を解き、これから湯壺へ入ろうとしている。
何思ったか、かれは、いきなりそこを飛び出し、宿の二階へ戻ってくるやいな、寝酒に酔って正体もなく眠っている周馬と一角とを揺すぶり起こして、
「おい、起きろ、すぐに支度をしろ、支度を」
不意に夢を破られて、赤い眼を渋そうにあいた二人は、時ならぬ頃に、お十夜があわただしい態をキョトンとして眺めながら、