Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lisez 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) de 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 675 caractères · 254 écrans
時代こそ違え、身分こそ違え、祖母の孫に対する心は、阿闍梨の母にも劣らなかったろうと思います。何しろ母が若かったので、長兄は殆ど祖母に育てられたのです。
私ども兄弟は幸に丈夫でしたが、孫の於菟さんは早く母に別れ、乳母の乳が悪かったというので、始めは弱々しかったのに、母はその頃家事に忙しいので、祖母の心配は一通りではありません。「森家の長男に気を附けねば」とよく世話を焼かれたのですが、時には焼かれ過ぎることにもなるので、皆うるさがり、困りもしました。もう団子坂へ移ってから、於菟さんが腎臓病に罹って、「入院させたら」という話になった時、「私の傍から連れて行ってしまうのはあんまりだ」と、泣いて承知せられません。
「そうではありませんよ。遠方へほんとに連れて行かれたら大変だと思って入院させるのです」と、納得させるまでが長くかかりました。
いつも日当りのいい処で、眼鏡をかけて裁縫をなさいますが、針箱などはありません。何か黒塗の処々剥げた箱を使うのでしたが、その辺は綺麗に片附いていて、糸屑など散らかっておりません。解き物などをするのにも、長いのは皆揃えてしばって、たとうへ入れてあります。