Classiques japonais avec furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lisez 鷲 (わし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 476 caractères · 290 écrans
さてその黒ん坊の死骸はどうなったかというと、むろん日を経るにしたがって、その肉は腐れただれて行った。毛の生えている皮膚も他の獣の皮とは違っているとみえて、鴉や他の鳥類についばまれた跡が次第に破れて腐れて、今はほとんど骨ばかりとなった。その骸骨も風にあおられ、雨に打たれて、ばらばらにくずれ落ちてしまったが、ただひとつ残っているのはその首の骨である。不思議といおうか、偶然といおうか、さきに木の上に投げ落されたときに、その片目を大きい枝の折れて尖っているところに貫かれたので、そればかりは骨となっても元のところにかかっているのであった。
自分の家の前であるから、その死骸の成行きは源兵衛も朝晩にながめていた。女房や娘は毎日のぞきに行った。そうして、死骸のだんだん消えてゆくのを安心したように眺めていたが、最後の髑髏のみはどうしても消え失せそうもないのを見て、またなんだか忌な心持になった。何とかしてそれを打落そうとして、源兵衛は幾たびか石を投げたり枝を投げたりしたが、不思議に一度も当らないので、とうとう根負けがしてやめてしまった。婿の家からいよいよ正式に破談の通知があった夜に、その髑髏はさながら嘲り笑うようにからからと鳴った。