Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わし

鷲

岡本 綺堂

Lisez 鷲 (わし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 476 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

満洲の雪の夜、その寒さと寂しさとには馴れていながらも、堀部君はなんだか眼がさえて再び寝つかれなくなった。

床の上に起き直って、堀部君はマッチをすって、懐中時計を照らしてみると、今夜はもう十二時に近かった。ついでに巻煙草をすいつけて、その一本をすい終った頃に、烈しい吹雪はまたどっと吹き寄せて来て、窓の戸を吹き破られるかと思うように、がたがたとあおられた。宵の話を思い出して、かの雪女が闖入して来る時には、こんな物音がするかも知れないなどと堀部君は考えた。そうして、またもや横になったが、一旦さえた眼はどうしても合わなかった。

「なぜだろう。」

自分は有名の寝坊で、いつも朋輩たちに笑われているくらいである。なんどきどんな所でも、枕につけばきっと朝までは正体もなく寝てしまうのが例であるのに、今夜にかぎって眠られないのは不思議である。やはりかの雪女の一件が、頭のなかで何かの邪魔をしているのではあるまいか。俺もだんだんシナ人にかぶれて来たかと、堀部君は自分で自分の臆病をあざけったが、また考えてみると、幽霊よりも馬賊の方が恐ろしい。幽霊などは初めから問題にならないが、馬賊は何をするか判らない。