Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たそがれ
黄昏
宮本 百合子
Lisez 黄昏 (たそがれ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 500 caractères · 29 écrans
四辺がひっそりしているせいか、先ず用向は済んだという寛(くつ)ろぎからか、母娘(おやこ)は、始めて、のうのうした気持になった。そして、一層親密に、姉の家庭の噂などしているうちに、のぶ子は突然、
「あのね、おっかさん、大阪の方から何か便りが来て?」
と訊ねた。
「大阪?」
おくめは、意外な面持をして、娘の顔を見ようとした。が、道は丁度大きな屋敷の樹下闇(このしたやみ)で、それと思われる輪廓が、仄白く浮立って見えるばかりである。
母親が何とも云い出さないうちに、のぶ子は、
「今、こっちなのよ」
と云い足した。
「先月から東京にいるんですって……」
このことを話すのに、のぶ子は一切相手の姓名を云わなかった。まして、「阿父(おとっ)さん」などという言葉はかりそめにも口に出さなかった。が、おくめには、勿論、すぐに先が誰であるか、推察がついた。昨今、大阪で暮しているということだけは、彼女も、去った良人の唯一の消息として伝聞きながら知っていた。けれども、一旦、縁を切ったからは、恥辱のように思って、彼女は、正確な住所さえ知ろうとはしなかった。便りをしようなどということは、夢にも思わずに、長い間、思い出ばかりを胸に蓄えて来たのである。