Classici giapponesi con furigana
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あすなろう
あすなろう
山本 周五郎
Leggi あすなろう di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.925 caratteri · 41 schermate
文次兄さんよ、そうでしょ」
文次はよろめき、片手であすなろうの幹につかまって、危うく身を支えた。
「ちがう、おらあそんな者じゃあねえ」
「顔を見せて、顔をよく見せてちょうだい」
娘は提灯をもっと近よせた。そしてとつぜん、片手で鼻を掩うと「血だわ」とふるえ声で云って脇へとびのき、なにかに躓いて転びそうになった。抱えていた小さな包が落ち、提灯もとり落しそうになったが、そのとき初めて、そこに横たわっている死躰をみつけた。
「触るな」と文次が云った、「触ると身のけがれだ、着物もよごれるぞ」
娘は死躰を見おろしていた。口の中で「政さん」と云ったが、舌がつって殆んど言葉にはならなかった。全身が誰かの手で揺すぶられるようにおののき、膝ががくがくした。娘は口をあいて喘ぎながら、そっと片手を伸ばし、死躰の顔へ当てがっていたが、やがて、なにかを切り裂くように、喉をしぼって悲鳴をあげ、うしろさがりに、死躰からはなれた。
「死んでいる、あの人は死んでいる」娘はふるえながら、振返って文次を見た、「――あんたが殺したのね」
「そいつは悪党なんだ」
「どうしてなの、どうしてあの人を殺したの」