Classici giapponesi con furigana
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あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Leggi あなたも私も (あなたもわたしも) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 133.405 caratteri · 263 schermate
サト子は、吉右衛門を戦争の追憶からひきはなすために、わざと強い調子で言った。
「戦争の話、もういいわ」
「たれも、もう戦争の話は聞きたがらない……だが、戦争の惨害を、トコトンまで味わった人間でなくては、ほんとうに人間のいのちをいとおしむ気持には、なれないものです」
「人間のいのちを、いとおしむために、戦争をしてみる必要も、あるわけなのね?」
むっとして、サト子の顔を見かえすと、吉右衛門は、失礼しますと言って帰って行った。
女中が、奥さまがお呼びですと、言いにきた。
「おはよう、おばさま……お目ざめですか」
日除が影をおとす、うす暗いところから返事があった。
「サト子なの?」
右手の壁ぎわに、三面鏡や、電蓄や、レコードの箱や、雑多なものをかた寄せ、その反対側に、夜卓とフロア・スタンドをひきつけ、いぜんお祖父さんのものだった、バカでかいベッドのうえで、叔母がむこう向きになって寝ていた。
海沿いにあるこの別宅は、お祖父さんのものだった。
飯島の崖の上にこの別荘を建てたよく年、すごい台風がきて、庭先まで波がうちあげ、お祖父さんは、びっくりして、ここにコンクリートの洋間の一郭をつくった。